2024年5月11日土曜日

WPF用縦書きテキストブロック Tategaki ver.3.2.2

Tategakiをアップデートしました。

Github:

Nuget:
https://www.nuget.org/packages/Tategaki/

今回の変更点

今回もマイナーチェンジです。

  • フォント読み込み時のパフォーマンス改善
  • 必要最低限のフォントファイルのみを読み込むように修正

説明していきます。

フォント読み込み時のパフォーマンス改善

前回のソフト更新で、縦書きフォントの検索時のパフォーマンス改善というものがありました。 GSUBテーブルのみを読み込むようにすることでパフォーマンスを飛躍的に向上させたというものでした。しかし、この検索のためにファイルの読み込みルーチンに2種類の実装ができてしまいました。イケてないです。プログラマーというのはコピペコードを嫌がるものです。ですので、実装を統一する作業を実施しました。

これにより、検索時以外にフォントファイルの中身を読み込む際のパフォーマンスも向上しました。1~2割程度の改善だと思います。

古い実装ではいったんすべてFile.ReadAllBytesメソッドでメモリに読み込んだうえで解析していましたが、フォントファイル内の多くのテーブルを読み込む場合でもStreamでファイルの必要な部分のみを都度読み込むほうが速いみたいです。まあ、ファイルのランダムアクセスみたいになってしまいますので、もしかしたらHDDとかなら重くなるのかもしれませんが、最近システムドライブがHDDのパソコンもそうそう無いでしょうからこれで良いでしょう。

必要最低限のフォントファイルのみを読み込むように修正

今回実施したかった改善はまさにこれです。

前回のソフト更新で「特定のフォントファイルを読み込むと落ちる不具合の修正」というものがありました。行儀の悪いフォントファイルがあると落ちるというものです。この時に思ったのですが、潜在的なリスクとして、ほかにも想定外のフォントファイルにより例外が発生するということは充分にあり得ます。私のパソコンでは落ちないけど誰かほかの人のパソコンに入っている特定のフォントなら落ちる…そんなのは検証しきれませんね。

前バージョンまででは、アプリの立ち上げ時に(=staticクラスのコンストラクタで)全フォントを読み込むようにしていました。そのため、行儀が悪いフォントファイルを持っている人の環境では、このライブラリを参照する限りアプリが一切立ち上げられなくなってしまいます。たとえそのフォントを使わなかったとしてもです。それはあまりにもよろしくない挙動で、初めてこのライブラリを使ってくださった方の印象を悪くさせかねません。

そこで、全フォント読み込みをできる限り行わないように修正しました。

具体的には、TategakiText.FontFamilyプロパティに指定されたフォントが縦書きを持っているフォントの場合、全探索は行いません。そのフォントのみを読み込みます。全フォントを読み込むのは以下の2パターンのみです。

  • TategakiText.FontFamilyプロパティに設定されたフォントが存在しない/縦書きに対応しないフォントだった場合
  • TategakiText.AvailableFontsプロパティを読みに行ったとき

後者は単純です。すべての縦書き対応フォントを参照してきたのですから全フォントを読み込むことになります。

前者については、フォールバック処理が入っているためです。使えないフォントだった場合、類似の使えるフォントを探すことになるのですが、そのために全フォントを読み込んだうえで類似フォントを探すような処理にしております。

いずれにせよ、「とりあえずTategakiTextを使ってみよう」レベルでは上記2パターンに抵触することは無いので、仮に行儀の悪いフォントファイルがあったとしてもアプリが立ち上がらない状況までは回避できるようになります。

余談:Tategakiのダウンロード数

NugetでTategakiのダウンロード数が見られるのですが、約1週間ごとにリリースしてきたver.3.0.0以降の各バージョンがだいたい75~85ダウンロードされているみたいです。

まあ、有名ライブラリなどに比べれば全然なのですが、80も使ってくれている人がいるんだ、というのが正直な感想です(ありがとうございます)。使ってくださった方からのフィードバックみたいなのはなかなか無いので、こちらとしてはあまり実感が無いというのが正直なところなのですがね。

引き続きよろしくお願いいたします。何かご意見・ご要望等あればいつでもコメントください。

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